アトピー性皮膚炎は「かゆい湿疹をくり返す病気」です

日本の診療ガイドラインでは、アトピー性皮膚炎は「増悪と軽快をくり返す、かゆみのある湿疹を主病変とする疾患」とされています。多くはアトピー素因(家族歴やIgEを作りやすい体質など)を持ちますが、“アレルギーが証明できること”は診断に必須ではありません。

よくある症状

  • かゆみ(最重要:睡眠・集中・生活の質に直結)
  • 皮膚の赤み、じゅくじゅく、かさかさ、ひっかき傷、かさぶた
  • 年齢で出やすい場所が変わる(乳児は顔・頭から、学童期は首や肘・膝の内側などが典型)

アトピー性皮膚炎は、単に「乾燥肌」ではなく、皮膚のバリア機能低下を土台に、炎症が続きやすい状態になっている病気です。バリアが弱いと、水分が逃げやすく、外からの刺激やアレルゲン、細菌などの影響も受けやすくなります。
このため、治療は「保湿だけ」では不十分で、炎症を抑える治療(外用治療)と、再燃を防ぐ日常管理がセットになります。


学校・園での管理も重要

学校・園での管理も重要になる理由:見た目以上に「かゆみ」が学習・生活に影響します

アトピー性皮膚炎は感染症ではありません。一方で、強いかゆみにより

  • 授業中に掻いてしまう(集中の低下)
  • 夜間の睡眠不足(翌日の眠気・不機嫌)
  • 皮膚症状の見た目によるからかい・いじめ
    などが起こり得ます。「本人の努力不足」ではなく、症状の一部として理解されると、学校生活が安定します。

学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)を活用できます

学校現場では、文部科学省・日本学校保健会が示す枠組みに沿って、「学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)」に基づく日常の配慮と情報共有が推奨されています。症状に変化がなくても、配慮が必要な間は少なくとも毎年の提出を求める運用が示されています。

この指導表にはアトピー性皮膚炎の項目があり、学校で迷いやすい

  • プール・長時間の屋外活動(紫外線)
  • 動物との接触
  • 発汗後の対応
  • 常用する外用薬(ステロイド外用、タクロリムス、保湿剤 など)
  • 重症度のめやす
    などを医師が記載して共有できます。

乳児湿疹とアトピー性皮膚炎の違い

  • 乳児湿疹:赤ちゃんに起きる湿疹全般を含む“広い呼び名”
  • アトピー性皮膚炎:かゆみのある湿疹が慢性的・反復性に続く病気(乳児では一定期間(2か月)以上続く、などの観点で治療しながら判断)

乳児期はまず「やさしく洗う・適切に保湿する」だけで改善することも多い一方、十分に良くならない場合は、アトピー性皮膚炎も含めて治療が必要になります。


受診の目安(学校・家庭で共有したいサイン)

次のような変化があるときは、主治医に相談(必要なら早めの受診)をおすすめします。

  • かゆみで眠れない日が続く/掻き壊しが強い
  • じゅくじゅくが増える、痛がる、急に悪化する
  • とびひのような黄色いかさぶたが増える など

<参考文献>
(1) アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024
(2) 学校生活におけるアトピー性皮膚炎Q&A令和3年度改訂版(学校保健ポータル)